上手くなるには「お腹」がカギを握っている
愛知県東海市にある現役看護師が運営するフィットネスジム
【BEHAVIOR CHANGE FITNESS(ビヘイビア チェンジ フィットネス):BCF】
代表トレーナーの荒木裕也です。
前回のブログでは、スポーツのパフォーマンスを上げる為に必要な要素の1つとして「インナーユニット」の1つ
「横隔膜」
についてお話しました。簡単におさらいすると
- 横隔膜の主な働きは「呼吸」であり
- 現代人はこの横隔膜が上手く使えていないケースが多い為
- トレーニングの最初は呼吸にアプローチしたエクササイズを行いますよ
と言うことでしたね。今回は横隔膜についてもう少し詳しくお話していきたいと思います。
昔の人も感じていたお腹の重要性 〜温故知新〜
「横隔膜」の話の前に、昔からある言葉で「お腹」がつく言葉(慣用句)をいくつか思い浮かべてください。
「腹を決める」「腹を立てる」「腹を据える」「腹が黒い」「腹を割る」
「腹を切る」「腹を探る」「自腹を切る」「腹の虫がおさまらない」
ちょっと考えてみるだけでも結構色々と出てくると思います。
なぜこんなにも多くの言葉に「腹」が使われているのでしょうか。おそらく昔の人も、なんとなく運動や感覚(感情)とお腹は密接に影響しているんだろうと敏感に感じ取っていからだと思います。そして現実にお腹は運動や感覚(感情)に大きく影響を与えていることが分かっており、その理由をこれから説明して行きたいと思います。
横隔膜と周囲の筋肉や骨との関係性
前回のブログでも横隔膜の位置を確認してもらいましたが、横隔膜が付着している部分を細く見てみると
- 腰椎(腰骨)
- 肋骨(胸郭)
- 胸骨
となります。ここで特に注目してもらいたいのは1と2です。
まず1の腰椎との関係ですが、横隔膜には「脚(きゃく)」と言う下方に伸びた文字通り脚が左右に1本ずつあります。横隔膜が体幹の安定に関係している理由は、この脚が腰椎に付着している構造が影響しているからなんです。
「体幹を安定させる=腰椎を安定させる」ということでもあるんです。
体幹トレーニングをされている方なら聞いたことのある「腹圧」や「パワーポジション」も腰椎を安定させることが関連してきます。だんだんとスポーツ現場にも浸透してきましたが、本来腰椎は回旋(腰を捻る動作)が苦手な関節です。と言うよりほとんど動きません。文献にもよりますが、だいたい腰椎の回旋の可動域は5°程度だと言われています。その為「腰を回せ!」とか「腰を意識して!」のような言葉がけや意識は腰痛の原因になりますので注意してください。では腰が動かないならどこを動かすべきかと言うと、2の肋骨を含む胸郭と言われる部分です。
前回のブログでお話した、呼吸チェックをする時にお腹の動きと同時に見るポイントが胸(胸郭)の動きです。横隔膜は肋骨に付着しているので、横隔膜が硬いあるいは弱いとその付着部である肋骨の動きが出にくくなります。
肋骨というのは本来背骨と連動してしなやかに動くもので、走る、投げる、泳ぐなどあらゆる動作の時に曲がったり捻ったりしてスムーズな運動を可能にしています。
横隔膜の動きが悪い
↓
肋骨が動かない
↓
背骨がしなやかに動かない
↓
無理に他の部分(腕や腰など)で動かそうとする
↓
他の部分にストレス倍増
↓
痛みが出る(怪我)
といった負のループに陥ります。
『体幹の安定』と同様に重要となるスポーツのパフォーマンスを上げるもう1つの要素『股関節と脊柱(胸郭)の柔軟性』の中にこの考え方も含まれてます。
次回は横隔膜と感覚(感情)の関係について、引き続きをお話していきたいと思います。