脂質と何か
愛知県東海市にある現役看護師が運営するフィットネスジム
【BEHAVIOR CHANGE FITNESS(ビヘイビア チェンジ フィットネス):BCF】
代表トレーナーの荒木裕也です。
脂肪(しぼう、食事脂肪)は、動植物に含まれる栄養素の一つ。日本の栄養学では一般に脂質(ししつ)と呼ぶ。また脂肪、脂質、油、脂(あぶら)といった用語は、各々うまく定義されずに使われていることがある。
脂質は、炭水化物、たんぱく質と共に「三大栄養素」と総称され、多くの生物種の栄養素である。この三大栄養素の比率をそれぞれの頭文字をとってPFCバランスという時、英語圏に倣って脂肪(Fat)を用いている。食品中の脂肪と言う時、脂質やその詳細である脂肪酸を指すであろう。常温で液体の油脂は油を指し、一方で脂肪と呼ぶとき固体のこともある。食品中の脂肪と言う時には、脂質を指し個体と液体の両方を含みうる。自らの体を指して脂肪と言う時、脂肪酸のグリセリンエステルの中性脂肪であることが一般的である。
脂質は、単位重量あたりの熱量が9kcal/gと他の三大栄養素の2倍以上あり、生体は食物から摂取した脂肪をエネルギーの貯蔵法としても利用している。脂質のうち多価不飽和脂肪酸に分類されるω-6脂肪酸のリノール酸とω-3脂肪酸のαリノレン酸が必須脂肪酸である。
※Wikipediaより一部抜粋
僕のブログ内でも以前に脂肪酸についてお話ししました。
https://behavior-change.com/study/動脈硬化はこうして起こる!〜酸化編〜続き
https://behavior-change.com/study/脳へのダメージ
脂肪分の多い食事=「肥満」「病気」?
近年の糖質制限ダイエットや筋トレブームの影響で、多くの人が栄養についての知識を持つようになりました。
「炭水化物を減らせば痩せやすい」
「筋肉を付けるにはタンパク質が重要」
などはもはや一般常識となっています。では「脂質」についてはどうでしょうか?
実はほとんどの人が脂肪分の多い食事をすると太ってしまうと思っています。ダイエット本や雑誌、筋トレが趣味の人のブログやYouTubeなどでもしきりに
「脂肪分の多い食品は肥満になりやすいので避ける」
「脂肪の摂り過ぎは心臓病や動脈硬化、脳卒中のリスクを高めるので良くない」
と当たり前のように発信しています。多くの人がなんとなく《脂肪=悪》のようなイメージを持ってしまっているのではないでしょうか。でも真実は違います。
脂肪の真実
1980年に脂質摂取比率を30%するべきだとしていたアメリカの食事ガイドラインが、2005年に20〜35パーセントとなり、2015年には上限設定を完全に撤廃しています。
さらに、アメリカ心臓病学会は2011年に摂取する脂質が多いほど中性脂肪が下がりやすいということを認めているそうです。コレステロールは脂質の摂取を増やしても減らしても血中コレステロールが下がることはほとんどありません。
もう1つアメリカのデータですが、2017年8月『ランセット』という権威ある化学系雑誌の電子版に【健康な食事とは?】という内容の論文が発表されています。この研究では一般的に考えられているのとは反対に、摂取脂肪エネルギー比が35%程の脂質摂取割合の高い人は低い人に比べて死亡リスクが低くなり、糖質摂取割合の高い(60%以上)人は心血管疾患のリスクが高くないにも関わらず死亡率が高かったという内容でした。
この研究は世界18カ国低・中・高収入の13万5千人を平均7年半追跡調査した【PURE】と名付けられた疫学調査のデータを用いた解析によるものです。
この研究では脂質については性質の異なる脂肪酸を分けて検討しており、その結果摂取カロリーの増加や飽和脂肪酸の摂取増加によっても主要な心血管疾患との関連は見出されなかったとさています。
また、驚くことに脂肪摂取量の多さは死亡率の低さとも関連していたと示されています。これは主なタイプの脂肪(飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸)全てにみられ、さらに飽和脂肪酸は脳卒中のリスクの低さとの関連もあったとしています。
最近では日本でも飽和脂肪酸(MTC)の一種である中鎖脂肪酸(ココナッツオイルやパームフルーツなどに含まれる)がアルツハイマー型認知症の症状を軽減させたり、すぐに肝臓に届きエネルギーとして使われやすく体脂肪になりにくいためダイエットにも有効であることが分かり話題になっています。
現在日本の厚生労働省の推奨する脂質摂取割合は25%です。
今後日本のこの数字もアメリカ同様に撤廃あるいは改定されると思われます。
じゃあなんでもかんでも脂肪分の多い食事を摂れば健康で長生きできるのかといえばそうではありません。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しです。
次回は脂肪過剰摂取による悪影響についてもお話したいと思います。