過ぎたるは及ばざるが如し

トランス脂肪酸だけで安心してはいけない

動脈硬化の話からだんだんと横道にそれてきていますが、もう少しだけお付き合い下さい。トランス脂肪酸の悪影響については十分理解していただけたと思います。しかし、トランス脂肪酸以外にも注意しないければいけない脂肪酸があります。それがn-6系と言われているオメガ6脂肪酸です。
「あれ?n-6系って必須脂肪酸だから積極的に摂らないといけないんじゃなかったっけ?」と思った方はすごく優秀。確かにn-6系(オメガ6系脂肪酸)の必須脂肪酸は必須脂肪酸です。しかし、最初に結論を言ってしまいますが、オメガ6脂肪酸は植物油(サラダ油、ヒマワリ油、コーン油、ごま油、紅花油、グレープシードオイルなど)、マーガリン、マヨネーズ、スナック菓子、カップ麺、ケーキ、アイスなどに多く含まれており、現代人はオメガ6系脂肪酸を過剰に摂取していることが分かっています。

必須脂肪酸だからと言って・・・

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以前は「リノール酸神話」と言って、オメガ6系脂肪酸のリノール酸がコレステロール値を低下させ、心筋梗塞や脳梗塞の予防になると積極的な摂取が推奨されていました。
しかし、その後の研究からコレステロールを低下させるのは一時的で、むしろ過剰な摂取は動脈硬化や老化が進み、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患やガン(※1)のリスクになることが分かっています。
※1 オメガ6系脂肪酸が代謝の過程で生み出すプロスタグランジンE2という物質がガン化を促進すると考えられています。

またオメガ6系脂肪酸が多すぎると、体内に炎症を起こしたり腸内細菌のバランスの乱れの原因になることも指摘されています。一方、炎症を抑えるタイプの油脂は同じ必須脂肪酸であるn-3系(オメガ3系脂肪酸)のEPA、DHA、α-リノレン酸があります

厚生労働省が発表した「日本人の食事摂取基準(2010年版)」によると、1日あたりのオメガ3系脂肪酸摂取量は約2g。オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の理想的な摂取比率は1:2〜4とされていますが、現代人の食生活では1:10とも言われています。
現代人の食事内容から考えると、不足しているよりも過剰摂取の方が問題だと思います。過ぎたるは及ばざるが如し。
脂質についてはもっともっとお話ししたいことが沢山ありますが、また別の機会にじっくりと紹介して行く予定です。

次回、シリーズ動脈硬化「酸化」のラストになります。

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